インテリアコーディネーターになるには?難易度・合格率・独学勉強法

インテリアコーディネーターになるには?難易度・合格率・独学勉強法

【2019年最新】インテリアコーディネーター資格の試験内容を徹底解説!「インテリアコーディネーターの仕事内容は?」「インテリアコーディネーターになるには?」「給料や年収は?」「活躍できる会社は?」「向いてる人は?未経験でも大丈夫?」などなど、これからインテリア業界へ就職・転職を目指す方に役立つ情報を一挙ご紹介。併せて取得したい国家資格&関連資格、独学に必携の過去問テキストや通信講座もぜひお見逃しなく!

目次

1.インテリアコーディネーターとは?

インテリアコーディネーターとは、建物内部の家具や内装全般をコーディネートする専門職のこと。

クライアントである企業や個人宅の要望にあわせ、住空間の環境を計画し提案します。

依頼者側の「こんなイメージのインテリアにしたい!」という要望を伺い、相談者のライフスタイルや使い勝手を考慮しながら、実際の空間として形作るお手伝いをすることが主な役割。

室内の壁紙や床材の配色コーディネート、家具やカーテン、照明器具の選定にいたるまで、いわば空間のプロフェッショナルとして依頼主の夢を現実化することが、インテリアコーディネーターの仕事です。

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1-1.インテリアコーディネーターの仕事内容は?

中古物件のリフォームやリノベーションの相談に応じたり、新築物件の内装デザインを提案したり。

インテリアコーディネーターの仕事は多義に渡りますが、中でも一番時間を費やすのは「打ち合わせ」。

クライアントの要望や予算、住環境の条件といったインテリア設計に必要な情報を、打ち合わせの中ですべてヒアリングします。

ヒアリングとは、相手との話し合いの中で情報を収集する方法のこと。インテリア業界では頻繁に使われる、ビジネス用語のひとつです。

図面や提案書、素材のサンプルや色見本を提示しながら事前に何度も打ち合わせを行うことで、完成イメージのミスマッチを防ぐ役割も果たします。

また近くにショールームがある場合は、クライアントと一緒に出向き、実物を見学しながら先方の相談に乗ることも。

その中でより良い商品を選ぶためのアドバイスをしながらさらに打ち合わせを重ね、具体的なイメージを固めて図面をプランニングし、室内の立体パースを作成します。

そして見積もりを作成しクライアントの合意が得られたら、晴れて契約完了。その後、床材・壁紙といった資材や家具をオーダーし、施工会社に工事を発注します。

内装工事会社が施工している間、インテリアコーディネーターは現場に立ち会う機会も多々あります。

その間、工事に関わるあらゆる業者の方と連携を取りながら、現場がスムーズに進むよう配慮するのも忘れてはなりません。

またすべての工程が終わった後、不具合がないかどうかの最終チェックを行うのもインテリアコーディネーターの大事な仕事です。

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1-2.インテリアコーディネーターになるには?向いてる人は?

結論から言えば、インテリアコーディネーターになるにあたって資格取得は必須ではありません。

とはいえ資格保持者としての肩書があることで、クライアントに安心感を与え、就職や転職においても有利になることは事実。

インテリアコーディネーター資格を取得することで、主催協会発信の最新インテリア情報を常に受け取ることができるため、仕事に活かせるメリットもたくさんあります。

またインテリアコーディネーターは現場に何かあればすぐに駆け付けなくてはならないため、勤務時間も不規則で長時間労働は避けられません。

それゆえインテリアコーディネーターになるためには、アイデアを生み出す柔軟な思考力だけでなく体力も大事。

さらに打ち合わせする機会がとにかく多いので、人と話すことが好きな方やコミュニケーション力の高い方も向いているでしょう。

  • とにかく家具やインテリア雑貨が大好き
  • 部屋の模様替えをあれこれ考えることが好き
  • 人が笑顔になるような、誰の役に立つ仕事がしたい
  • 手に職を付けて、結婚・出産後も楽しみながら働きたい
こんな方たちにとっても、インテリアコーディネーターの仕事はうってつけ。

特に新しいものやデザインが好きな方、手を動かして絵を描くことが好きな方は、資格取得に向けて楽しみながら勉強できるはずです。

未経験~下積み時代は覚えることが多いので、最初はとにかく頑張って慣れるしかありませんが、手に職を付けた後はライフステージに合わせて働き方を選べるのもこの仕事の魅力。

正社員をサポートする派遣社員やアルバイトの場合は時短勤務も可能なので、年齢問わず長く働けることも女性にとって嬉しいポイントですね。

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1-3.インテリアコーディネーターの就職先やキャリアプランは?

インテリアコーディネーターが活躍できる主な就職先は、次のとおり。

  • 大手ゼネコンやハウスメーカー
  • インテリア関連商品のメーカー
  • 設備や建材メーカー
  • 設計事務所や建築工務店
  • 店舗設計や内装デザインの会社
  • リフォーム専門の内装施工業社
  • 家具メーカーのショールーム
  • 有名インテリアショップ
カーテン・壁素材・照明・家具・設備機器・インテリア雑貨を扱うショップなど、資格取得後に活躍できるフィールドは多種多様。

基本的には正社員求人が多い傾向にありますが、派遣社員やアルバイトとして経験を積んだあと、そのまま正社員として再契約する方も多いのがこの業界の特徴でもあります。

また経験を積んだ後は会社から独立し、独自のセンスや人脈を活かして活躍している女性も大勢います。

インテリアコーディネーターとして働くには、センスがあることはもちろん、気力と体力が十分にあることが最重要。

経験や実績がものをいう業界なので、ご指名で仕事を依頼されるようになったら、女性でもフリーランスになることは決して夢ではありません。

敢えて独立しなくとも、実力さえあれば一つの企業の中で長く働けるのもインテリアコーディネーターの強み。

ライフイベントに合わせて勤務時間を調整しつつ、勤め先と相談しながら結婚出産後も長く働くことも十分可能です。

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1-4.インテリアコーディネーターの年収・時給・給料はいくら?

人気職種の給料情報「求人ボックス 給料ナビ」の調査によると、2019年9月において、インテリアコーディネーターの年収・時給・給料は次の結果となりました。

正社員 派遣社員 アルバイト・パート
平均年収 422万円 平均時給 1,402円 平均時給 980円
出典:求人ボックス 給料ナビ

正社員の平均年収である422万円は、月給換算で約35万円。初任給の相場は約20万円程度となっているようです。

正社員の給料で最もボリュームが多いゾーンは418〜465万円

全体の給与としては276〜655万円と額の振り幅が比較的広いため、勤務先の企業規模や受け持つスキルによって、年収にかなりの差がある職種であることが分かります。

フリーランスとして独立した後は、個人の営業力や大手ゼネコンや工務店とのパイプさえあれば、年収500万以上稼げることも。

また年収1000万円以上稼ぐには、インテリアコーディネーターとして自らの名前をブランド化して有名人になるか、法人化して会社を設立する必要がありますが、頑張り次第では女性の平均年収を大きく上回ることができるでしょう。

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2.インテリア産業協会「インテリアコーディネーター資格」とは?

インテリアコーディネーターは、公益社団法人インテリア産業協会が主催する資格のこと。

毎年日本全国で約1万人以上が受験する、大変人気のある検定試験です。

有資格者は女性が約8割で、中でも20代~30代の女性が大多数を占めています。

インテリアコーディネーター資格を取得し会員登録を行うと、「住まい手にとって快適な住空間を作るために適切な提言・助言を行う当協会が資格認定するプロフェッショナル」として、主催元のインテリア産業協会が正式認定。

その後資格登録証が自宅に送付され、資格有効期間の開始とともに、公認インテリアコーディネーターとして活動可能となります。

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2-1.インテリアコーディネーターは国家資格?

インテリアコーディネーターは、国家資格ではなく民間資格です。

インテリアコーディネーターの仕事は医師や弁護士のように、法律上資格を取得しなければその仕事に就けないわけではありませんが、関連する国家資格として次の3つが挙げられます。

  • 一級建築士
  • 二級建築士
  • 木造建築士
建物の構造をより深く知ることは内装設計において非常に重要です。

仕事の幅もが広がるだけでなく、正社員の場合は資格手当も支給されることから、インテリアコーディネーター取得後に建築士資格を目指す方も多いのではないでしょうか。

一級建築士は、延べ面積が500m³以上の建物を設計することができるため、大規模施設のデザインに携わりたい方には必須の資格です。

また二級建築士は、延べ面積が30m³から1000m³の建物を手掛けることが可能。

高さ制限などもありますが、個人宅等の小規模物件のリフォームに携わるなら、併せて二級建築士資格も取得しておくと業界で働く上で強みとなるでしょう。

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2-2.インテリアプランナーとの違いは?

インテリアコーディネーターとよく比較される、インテリアプランナー。

どちらもインテリアのプロフェッショナルを証明する資格ではありますが、両者の違いはいったい何でしょうか?

インテリアコーディネーター インテリアプランナー
主催団体 公益社団法人 インテリア産業協会 公益財団法人 建築技術教育普及センター
試験内容 インテリアに関する専門知識 建築全般における専門知識
受験者の男女比 女性が圧倒的に多い 男性の割合も多い
資格の登録条件 条件なし 学歴や実務経験の条件あり
インテリアに関する専門知識を中心に習得するインテリアコーディネーターに対し、インテリアプランナーは建築や製図、設計の専門知識が必須であることから、建築業界で働く男性の受験者も多く見られます。

またインテリアプランナーは、平成27年まで「受験する年の4月1日時点で満20歳以上」という年齢制限が設けられていましたが、現在はインテリアコーディネーター同様、どなたでも受験が可能となりました。

このように比較すると分かるように、インテリアプランナーの方が建築全般についての専門知識が必要な分、若干難易度が高いと言えるでしょう。

それぞれの資格に向いている方は、以下のとおり。

  • インテリアコーディネーター:インテリアコーディネートの専門家になりたい方
  • インテリアプランナー:建築設計から内装のプロジェクトに関わりたい方
今後、インテリア業界でどんな働き方をしていきたいか?あなたの目指すキャリアプランに合わせて、選択肢を検討してみましょう。

参考:インテリアプランナー:建築技術教育普及センター

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3.気になる難易度は?インテリアコーディネーター資格の試験内容

インテリアコーディネーター資格試験の受験科目は、一次試験と二次試験の2段階方式。

まずは一次試験にチャレンジし、合格者のみに二次試験の受験資格が付与されます。ここでは一次試験、二次試験それぞれの科目について詳しく解説。

特定条件を満たした方には試験の免除制度も設けられているので、事前にしっかりとチェックしておきましょう。

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3-1.一次試験は学科の1科目のみ!

一次試験の実施科目は、学科のみ。

平成25年度(第31回)までは、インテリア商品と販売の基礎知識・インテリア計画と技術の基礎知識の合計2科目で実施されていました。

しかし平成26年度(第32回)より、その2科目が統合され、学科試験1科目のみに。

また以前は、インテリアコーディネーターとして活躍するには業界での実務経験が最重要視されていたため「受験資格は25歳以上」という年齢制限が設けられていましたが、現在は年齢・性別・国籍を問わず、誰でも受験できるようになりました。

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3-1-1.受験資格・試験日・受験方法・試験時間・持ち込み用具は?

インテリアコーディネーター一次試験の詳細は、次のとおり。

申し込みの際は、念のため事前に必ず公式サイトで内容を確認してください。

  • 受験資格
  • 年齢・性別・学歴・職業・経験は問いません
    ※但し、出題・解答は日本語のみ

  • 試験日
  • 10月の第二日曜日

  • 受験地域
  • 札幌・盛岡・仙台・高崎・東京・名古屋・金沢・大阪・広島・高松・福岡・沖縄
      ▶最終的な試験地は、受験票をご確認ください

  • 受験方法
  • 学科のみ、マークシートによる択一式

  • 試験時間
  • 160分(事前説明15分/試験時間160分)

  • 持ち込める筆記・製図用具
  • 鉛筆またはシャープペンシル、消しゴム
      ▶BまたはHB、万年筆・ボールペンは不可
出典:公益社団法人インテリア産業協会

なお、2019年度より受験料が改訂されました。詳しくは、こちらの公式ページをご確認ください。

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3-1-2.一次試験の試験範囲と審査基準

一次試験の試験範囲は、以下の9分野。

出題範囲も幅広く身に付ける知識も多岐にわたるので、「難易度が高い」と言われることも頷けます。

審査基準を頭に入れておくことは、試験対策にもつながります。一発合格を目指すなら、ポイントを押さえて効率よく勉強しましょう。

  • インテリアコーディネーターの誕生とその背景に関すること
  • インテリアコーディネーター誕生の背景となった住まいへの意識変化や住宅・インテリア産業の発展の経過、その後のインテリア産業の進展とインテリアコーディネーターの職域の拡大等に関する基礎知識を有していること。

  • インテリアコーディネーターの仕事に関すること
  • インテリアコーディネーターとしての役割、職能、必要な実務内容・手順および職域等に関する基礎知識を有していること。

  • インテリアの歴史に関すること
  • 古代から現代に至る日本及び西洋のインテリアの歴史に関する基礎知識を有していること。

  • インテリアコーディネーションの計画に関すること
  • 生活像、規模計画、寸法計画、人間工学、造形原理、色彩計画、安全計画、性能計画、維持管理といったインテリアコーディネーションのための基本的な検討事項、生活場面の構成手法、リフォームの計画等に関する基礎知識を有していること。

  • インテリアエレメント・関連エレメントに関すること
  • 住宅家具、造作部品、システム・ユニット製品、ウインドートリートメント、カーペット、インテリアオーナメント等のインテリアエレメント、各種品質表示、エクステリアエレメント等に関する基礎知識を有していること。

  • インテリアの構造・構法と仕上げに関すること
  • 建築の構造・構法、インテリア(床・壁・天井)の構法、造作と造作材、機能材料と工法、建具、仕上げ材と仕上げ等に関する基礎知識を有していること。

  • 7.環境と設備に関すること
  • 室内環境(熱、湿気、換気・通風、音、光)、住宅設備(給排水、換気・空調、自然エネルギー、電気、照明、水回り設備機器)に関する基礎知識を有していること。

  • インテリアコーディネーションの表現に関すること
  • 建築等設計図書、二次元・三次元表現技法、CAD表現・レンダリング、プレゼンテーションに関する基礎知識を有していること。

  • インテリア関連の法規、規格、制度に関すること
  • インテリアに関連する建築・住宅、省エネ・環境・リサイクル、高齢者・障害者配慮、品質・安全性等分野の法規制・規格・制度・表示に関する基礎知識を有していること。
    出典:公益社団法人インテリア産業協会

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3-1-4.一次試験の合格点&合格ラインは約70%!

日建学院によると、インテリアコーディネーター試験は合計得点の70~75%程度が合格ラインとのこと。

具体的な合格点は公式発表されていませんが、受験者数の上位30%程度が合格すると言われているようです。

満点合格を目指す必要はありませんので、全体の8割正解できるように対策しておけば、概ね合格基準に達することができるでしょう。

出典:日建学院

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3-1-4.翌年以降の一次試験免除制度について

一次試験に合格した方は、次年度から3年間、受験申請時に一次試験の免除申請をすることで、二次試験のみを受験することができます。

ただし免除期間が過ぎた場合は、再び一次試験からの受験となるのでくれぐれもご注意ください。

なお免除申請には、一次試験合格時に個別に通知されている「通知番号」が必要です。

翌年以降に二次試験を受験する方は、一次試験の合格通知を紛失しないよう大切に保管しておきましょう。

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3-2.二次試験は実技と論文の2科目!

二次試験を受験するためには、一次試験をパスしていることが絶対条件です。

二次試験の出題科目はプレゼンテーションと論文の2科目。プレゼンテーション課題の内容は開催年度によって異なりますが、基本的には室内の平面図とパースもしくは立面図を作成します。

出題内容に沿って内装設計するためには、家具や建具などの基本的なモジュール寸法をしっかり把握しておくことが合格のカギです。

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3-2-1.受験資格・試験日・受験方法・試験時間・持ち込み用具

インテリアコーディネーター二次試験の詳細は、次のとおり。

念のため、申し込みの際は必ず事前に公式サイトで確認してください。

  • 受験資格
  • 一次試験に合格していること(免除制度該当者のみ)
    その他は問いません

  • 試験日
  • 12月の第二日曜日

  • 受験地域
  • 札幌・盛岡・仙台・高崎・東京・名古屋・金沢・大阪・広島・高松・福岡・沖縄
      ▶最終的な試験地は、受験票をご確認ください

  • 受験方法
  • 記述式のプレゼンテーション・論文

  • 試験時間
  • 180分(事前説明15分・試験時間180分)

  • 持ち込める筆記・製図用具
  • ・鉛筆またはシャープペンシル(万年筆・ボールペンは不可)
    ・消しゴム
    ・直定規(30㎝以内)
    ・三角スケール
    ・三角定規
    ・コンパス
    ・ヘキサスケール
      ▶直定規と三角スケールの機能のみを持つもの
    ・型板(テンプレート)の円定規だけのもの
      ▶なお、一部に角度表示のあるものでも可
    ・字消し板
    ・製図用ブラシ
    ・色鉛筆(12色以内、色の選択は自由)
      ▶軸(木や紙)に芯を通した色鉛筆に限る
      ▶全体が芯でできたもの等は不可
    ・ミニ鉛筆削り
      ▶削りカスが散らからないように注意してください

    ※上記以外の型板(テンプレート)や勾配定規等の使用はできません
    ※受験票に記載する「試験当日の持ち物」をご確認ください
    ※当日、会場での筆記用具・製図用具の貸出はありません

    出典:公益社団法人インテリア産業協会

    一次試験同様、2019年度より二次試験も一部受験料が改訂されました。詳しくは、こちらの公式ページをご確認ください。

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    3-2-2.二次試験の試験範囲と審査基準

    二次試験は、筆記なしのオール実技のみ。

    まずは手描きにより内装図面を作成し、立体パースに着色してプレゼンテーションを作成します。

    そして与えられたテーマに沿ってインテリア計画に関する論文を執筆するという、二部構成の試験内容です。

    具体的な試験範囲は、以下のとおり。

    • プレゼンテーション
    • インテリアの基礎知識をもとに、住まいのインテリア空間に関する与えられた課題について、これを理解・判断し、プレゼンテーションとして図面等で的確に表現できる能力を有していること。

    • 論文
    • インテリアコーディネーターとして、住まいのインテリアに関する与えられた課題について、これを理解・判断し、的確な解答を文章で明瞭に表現できる能力を有していること。
      出典:公益社団法人インテリア産業協会
    プレゼンテーション試験では、次のうちからいくつかの課題図面を作成します。

    ・平面図:部屋を真上から見た図
    ・立面図:部屋を横から見た投影図
    ・展開図:部屋の内観を横から見た各壁面を表す図
    ・パース:立体的な遠近法で描いた透視図
    ・アイソメ:部屋を斜めから見た等角投影図

    与えられる課題はその年により異なりますが、「出題内容を的確に把握し、テーマに沿ったプランを図面内に落とし込めているか」が審査基準となります。

    そして論文は、1次試験で得た専門知識をもとに「インテリアコーディネーターとしての立場から、クライアントへの提案や問題解決策が具体的に述べられているか」が最重要ポイント。

    どちらの試験も、審査基準において最も重要視されるのは、「見やすさ」と「読みやすさ」。

    プロのインテリアコーディネーターは相談者のイメージを的確に把握し、どんな人にも分かりやすい図面とパースで表現するスキルが必須です。

    また「建築基準法」に即して、法律に則った図面が作図できているかも採点のチェックポイントとなるので、内装設計に必要な法律知識もしっかりと頭に入れておきましょう。

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    3-2-3.二次試験合格のコツはマイナス点を減らすこと!

    二次試験の合格基準は、一次試験同様、公式に発表されていません。

    先ほども述べた通り、二次試験において最も重要なのはこの2点。

    課題内容を的確に把握できているか
    テーマに沿って分かりやすく見やすく視覚化できているかどうか


    手描きの図面は、濃さの異なる鉛筆を適宜使い分けながら、細い線と太い線を明確に描くことが重要です。

    直線がキレイに引けているか?寸法値は高さの揃った丸文字で描かれているか?といったことも、手描き図面を美しく描くコツ。

    手描きの場合は何度も消して描き直していると、用紙が黒く汚れてしまいます。するとプレゼンテーションを作成する際、鮮やかな発色で着色できなくなる恐れも。

    特に図面においては実線なのか消した線なのか、見た目にも分かりづらくなるため、間違いなく原点ポイントとなるでしょう。

    明確な合格点が設けられていない試験では、概ね減点法による採点が行われます。

    例に漏れず、この二次試験も採点者の主観がマイナス点に影響するので、ひと目見たときに「これは分かりやすくて美しい図面だ!」と思ってもらえることがベスト。

    何度もやり直し可能なCADとは違うので、できるだけ一発で正確な図面を描けるように練習しておくと良いでしょう。

    また一般的に、読みやすい論文を書くポイントは以下の3つ。

    ・序論:論文全体の紹介
    ・本論:自分の主張に沿って証拠を述べ、結論に導く
    ・結論:論文の結論を述べる
    この順序で構成すれば、だいたいの論文はクリアできるはずです。

    序論ではおおまかな内容を紹介しつつ、最初に結論を述べてしまってもOK。

    その場合は、「なぜその結論に至ったのか?」について、検証を交えながら本論以降にくわしい過程を述べていきましょう。

    もし設問に文字数が設けられていたら、全体の9割に到達するよう字数を埋めておくようにしましょう。

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    3-3.登録&更新しないと失効!資格取得後の注意点

    正規のインテリアコーディネーターとして承認されるには、資格取得後に必ず登録をしなければなりません。

    登録には申請期間が定められており、この手続きを行ってはじめて協会認定のインテリアコーディネーターとして身分証が交付されます。

    指定の期間内に登録手続きを済ませなかった場合、せっかく取得した資格と登録の権利がすべて失効してしまいますので細心の注意が必要です。

    また登録・更新手続きの際には、以下の手数料が発生します。

    • 初年度から5年間の登録料:税込 14,300円
    • 5年目~10年目の更新手数料:税込 20,900円(更新登録・研修費、税込)
    • 5年目以上の更新手数料:税込 14,300円(更新登録費、税込、研修免除)
    上記のとおり、2019年度より登録料が改訂されました。詳しくは、こちらの公式ページをご確認ください。

    資格放棄の申請があった場合、また期日までに更新手続きを完了されない場合は資格喪失となります。

    また登録手続き後、インテリアコーディネーターとしての信用を著しく傷つけるような行為等、適正な職務遂行に支障があると協会が認めた場合、インテリアコーディネーター資格を抹消されることがあります。

    頑張って取得した資格が無駄にならないよう、くれぐれも登録と更新手続きは忘れないようにしましょう。

    出典:公益社団法人インテリア産業協会

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    3-4.登録者には商業施設士資格試験の優遇制度も

    インテリアコーディネーター登録を行うと、商業施設士試験の受験申請時に学科の一部が免除されます。

    商業施設士とは、商業施設の企画・設計・デザイン・監理等関する知識を有していることを証す資格制度のこと。

    商業施設士資格を取得すると、商業施設の運営管理のほか、店舗の構成やデザインを総合的に計画するプロフェッショナルとして活躍できます。

    この優遇措置を受けるには、受験申し込みの際に、インテリアコーディネーター証の写しを添付するだけ。そうすると、学科試験・選択問題の「生活と商業」が免除扱いとなります。

    商業施設士資格についての詳しくは、以下の公式サイトをご覧ください。

    出典:公益社団法人インテリア産業協会

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    4.インテリアコーディネーターの合格率は?2018年度の試験結果

    2018年度に行われた、第36回インテリアコーディネーター資格試験の合格率は、全体の23.8%

    ということは総受験者数のうち、一次・二次ともに合格する人はたったの2割です。

    この数字から見ても、インテリアコーディネーター試験がいかに難易度が高い資格であるかが分かるでしょう。

    続いては1次試験・2次試験、それぞれの受験者数と合格率を見てみましょう。

    一次試験 二次試験
    受験申込者数 9,879 名   二次受験対象者数 4,205 名(内:一次免除者 1,539 名)
    受験者数 8,542 名   受験者数 3,620 名(内:一次免除者 1,171 名)
    一次合格者数 2,766 名   二次合格者数 2,135 名
    一次合格率 32.4%   二次合格率 59.0%
    出典:公益社団法人インテリア産業協会

    合格率を並べて比較すると、学科のみの一次試験よりも、一見難易度が高そうな二次試験の方が、圧倒的に高い結果に。

    一次と二次が分かれている試験の場合、通常であれば一次試験の合格率が高くなる傾向がありますよね。

    しかしインテリアコーディネーター試験では、その逆です。

    その理由は、先にも述べたように一次試験の試験範囲が幅広く、覚えるべき専門知識の量が非常に多いため、一夜漬けの丸暗記ではクリアできないからです。

    一次試験で身に付けた知識をもとに、二次試験では図面や論文に起こしていくため、一次試験で習得する知識がいかに設計に必要不可欠であるかが分かるはずです。

    以上を踏まえると、一次試験を突破できるだけの知識を身に付けていれば、あとは出題内容に沿って正確で美しい図面を描けるように製図の練習をすれば、概ね対策できると言えるでしょう。

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    4-1.一次・二次試験の合格者は何人?過去9年間の合格者数推移

    続いては、一次・二次試験の資格取得対象者に対する、過去5年間の合格者数推移をチェックしてみましょう。 出典:公益社団法人インテリア産業協会

    2014年から2018年に至るまでの合格率は、おおよそ20%

    それ以前の4年間では、以下のような結果に。

    ・2010年:23.2%(10,719人)
    ・2011年:25.0%(9,876人)
    ・2012年:26.1%(9,789人)
    ・2013年:24.6%(9,605人)
    ※()内は、総受験者数を表す

    引用:平成26年度(第32回)インテリアコーディネーター資格試験の結果について

    このパーセンテージを見ると、ここ10年間の合格率は約2割が平均値であることがわかります。

    また過去9年間の総受験者数を比較すると、ピークは2010年の10,719人であるのに対し、2017年には8,569人に。

    このデータからは、直近9年間で約2,000人程減少していることが見て取れますが、合格率は依然として20%前後なので、難関資格であることには変わりないようです。

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    4-2.合格者数の男女比は?過去5年間の推移

    出典:公益社団法人インテリア産業協会

    今年度の資格試験合格者の男女別割合は、女性が75.8%。例年に続き、女性の比率の高い傾向が続いています。

    最近では、主婦の方の受験者も増えているのだとか。

    その理由は、近年「手に職をつけたい」と考える女性たちが増加しているため。

    結果、結婚出産後の仕事復帰に向けて、インテリアコーディネーター資格の取得を目指す方が増えているようです。

    またインテリアコーディネーターは、主婦業の経験が活かせる仕事のひとつ。

    家の中で多くの時間を過ごし、住まいと向き合う時間の長い主婦の方にとって、「楽しみながら資格取得ができる」と人気が集まるのも納得です。

    一方、男性の受験者数は過去5年間でそう変化が見られないことから、相変わらず女性に人気の資格であることには間違いなさそうです。

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    4-3.【前年比】合格者の年齢&男女別構成は?

    出典:公益社団法人インテリア産業協会

    合格者の年齢別割合では、39歳以下が全体の72.7%と、引き続き若い世代の受験者が多数を占める傾向が続いています。

    インテリア産業協会の調査によると、2018年度の最年少合格者は16歳最年長合格者は73歳でした。

    先にも述べたように、近年は主婦層の受験者が増加していることから、前年と比較しても25歳~39歳の女性受験者数が108%UP。

    男性も30~49歳の受験者が増加していることから、女性同様、主夫の方にも目指しやすい資格試験となりつつあるのかもしれません。

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    4-4.【前年比】地域別・業種別の合格者数は?

    また、同合格者の地域別割合は、以下のとおり。 出典:公益社団法人インテリア産業協会

    関東甲信越地区が47.3%と、圧倒的な合格者数を記録しています。

    続いては関西地区の18.3%、中部地区11.0%の順で、大都市圏を含む3地区の合格者が全体の76.6%を占めています。

    商業施設やおしゃれな住宅が多い都心部では、インテリアコーディネーターの需要も引き続き堅調な展開に。

    このデータを見ても、インテリアコーディネーターの求人が都心部に多いことが頷けますね。
    出典:公益社団法人インテリア産業協会

    同様に、業種別の割合では、施工(新築、リフォーム、内装関連)が37.8%という結果に。

    次いでデザイン・設計が13.3%と、住宅関連業種が高い割合となりました。

    「インテリアコーディネーター」という資格試験の特性上、これは当然の結果であると言えるでしょう。

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    5.独学でも合格可能!インテリアコーディネーターの勉強法3つ

    インテリアコーディネーター試験に合格するための基本的な学習方法は、とにかく過去問題をたくさん解くことです。

    ここでは具体的な勉強方法を、3パターンご紹介します。

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    5-1. 公式テキストと過去問で対策:独学で学ぶ

    一次試験を独学で学ぶためには、インテリアコーディネーターに必要な基礎知識が詰まった公式ガイドブックが必須です。

    実際の試験問題は、このテキストに沿って出題されます。

    とはいえ、初心者の方が最初に公式テキストを読んでも、あまりの専門用語の多さに、途中で頭打ち状態になってしまうかもしれません。

    一冊目に学ぶテキストとしては少々ハードルが高いので、まずは入門編として以下のような「インテリアとはなにか?」を体系的に学べる本を選ぶと良いでしょう。

    インテリアコーディネーターの一番わかりやすいインテリア製図入門

    松浦 勝翼 (著)

    インテリアコーディネーター資格試験対策から実践まで役立つ製図テキスト。

    目次
    1 インテリア製図とは
    2 本書の内容
    3 インテリア製図のための基礎知識
    4 インテリア製図のための基礎技能
    5 インテリア空間の表現
    6 インテリア図面の描き方


    参考:Amazon


    インテリア業界で実務経験がある方や少しでも基礎知識がある方は、迷わずインテリアコーディネーターハンドブック(上・下巻)を揃えましょう。

    インテリアコーディネーターハンドブック 統合版 上・下

    公益社団法人インテリア産業協会(著)

    【上巻】
    第1章 インテリアコーディネーターの誕生とその背景
    第2章 インテリアコーディネーターの仕事
    第3章 インテリアの歴史
    第4章 インテリアコーディネーションの計画
    第5章 インテリアエレメント・関連エレメント

    【下巻】
    第6章 インテリアの構造・構法と仕上げ
    第7章 環境と設備
    第8章 インテリアコーディネーションの表現
    第9章 インテリア関連の法規、規格、制度


    出典:上巻Amazon/下巻Amazon


    メインテキストについては、できるだけ新品の購入をおすすめしますが、数年前の版でしたら中古本の購入でも構いません。

    しかし過去問題集だけは、近年の出題傾向を把握するためにも、必ず出版年が最新の本を揃えるようにしましょう。

    インテリアコーディネーター資格試験 年度別過去問題集 2019年版

    HIPS合格対策プロジェクト(編集)

    1次試験最新4年分を年度別に収録。
    1ページ1問の見やすいレイアウトです。
    本試験形式で編集しているため、本番を想定した学習が可能です。 コンパクトなので持ち運びにも便利です。

    ※Kindle版(Amazon電子書籍)の出版もあります。

    出典:Amazon

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    5-2.製図の習得も簡単:学校で学ぶ

    スクールで学ぶ一番のメリットは、プロの講師から出題傾向や対策のコツをレクチャーしてもらえること。

    独学と違って毎週受講日が決まっているため、ポイントを押さえて効率よく学習することができます。

    講師に直接質問できる環境の中で、同じ目的の仲間たちと一緒に励まし合いながら学べるのも大きなメリットでしょう。

    現役インテリアコーディネーターとして活躍している講師が教えるスクールなら、実際の仕事内容についても生の声を聞くことができますし、知りたいことを深掘りして質問することも可能です。

    ただし高額な受講料がかかってしまうため、転職や離職のタイミングに合わせて「教育訓練給付制度」が利用できるスクールを探してみるのも方法の一つ。

    特に二次試験の製図については、製図専用のスケールや円定規を使うため、独学だけで学ぶのはかなり厳しいはずです。

    できる限りコストを抑えて学びたい方は、受験前に開催される直前対策講座のみ、もしくは実技講座だけスクールで学んでも良いでしょう。

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    5-3.専門の教材が充実:公式の通信講座で学ぶ

    産業能率大学の「インテリアコーディネーター講座」は、インテリア産業協会が主催する唯一公式の通信講座です。

    受講者の受験計画にあわせて選べるコースは、次の3つ。

    • インテリアコーディネーター受験一次試験
    • ・受講料:31,900円(税込)
      ・受講期間:5か月
      ・在籍期間:10か月

    • インテリアコーディネーター受験実技対策
    • ・受講料:20,900円(税込)
      ・受講期間:3か月
      ・在籍期間:6か月

    • インテリアコーディネーター受験総合
    • ・受講料:47,300円(税込)
      ・受講期間:7か月
      ・在籍期間:14か月
    出典:学校法人 産業能率大学 – インテリアコーディネーター講座

    業界未経験の方は、インテリアの知識を基礎から学べる「インテリアコーディネーター受験総合」がおすすめです。

    この講座の受講期間は7か月で、受講料は税込47,300円。

    価格だけを見ると少し高額ですが、インテリアコーディネーターハンドブック 上・下を含む公式テキスト4冊と問題集5冊も受講料に含まれています。

    そのうえ7回分の添削も含まれていて、内5回はWeb提出もOKという、実はとってもお得な講座なのです。

    さらに二次試験の過去問題集には、主催協会が作成した予想問題付き。

    一次試験と二次試験の直近5年間の過去問を駆使しつつ、自宅にいながらポイントを押さえた受験対策ができるのも特筆すべきメリットです。

    教材は電子書籍としても閲覧できるので、重いテキストを持ち歩かなくても移動中に勉強できるのが嬉しいですね。

    受講中にわからないことがあれば、オンラインから直接講師へ質問が可能。

    受講できる在籍期間も長いので、普段忙しい方もご自身のペースで安心して学ぶことができるでしょう。

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    6. まとめ

    インテリアコーディネーター資格が他の試験と大きく異なる点は、単純な丸暗記だけではパスできないということ。

    その理由は、筆記だけなら暗記と反復で何とかクリアできたとしても、二次試験の実技では一次試験で得た知識を実際に図面化していくため、事の本質を理解しておく必要があるからです。

    公式テキストを開くと聞きなれない専門用語がたくさん出てきますが、決まり切った専門用語をただ覚えるのではなく、論理的に解釈しその仕組みを理解できるように学習するとベストでしょう。

    また常に小さなメジャーを持ち歩き、テーブルや椅子のサイズや、部屋のドアや壁の縦横寸法を測ることを習慣付けておくと、モジュール感覚が早く身に付きますよ。

    身近なモノの寸法感覚が身に付くと、家具や建具だけでなく、部屋や設備を見ただけで、だいたいの寸法が分かるようになってくるので、楽にパースが描けるようになるはずです。

    インテリアコーディネーターを目指すなら、手描きだけでなくCAD(キャド)でも作図できるようになっておくと就職にも有利。

    とは言っても、ゼロから独学でCADを身に付けるには相当な時間と労力がかかってしまいます。

    日中働きながら、夜間にインテリアコーディネーターのテキストを学びつつCADも覚えて、さらに手描きの製図方法も習得する…となると、一人で学習するのは至難の業。

    そんな時におすすめなのが、無料のCADスクールluluCAD」です。

    CAD・製図の無料就職支援を行うluluCADでは、プロの先生が業界未経験者の方にも基礎から分かりやすくレクチャー。

    CADのスキルを身に付けながら受講者の方に合う就職先も紹介してもらえるので、専門知識のない方でも安心して通っていただけますよ。

    → 無料の就職支援CADスクール「lulucad」

    将来インテリアコーディネーターを目指すなら、まずは試しにCADオペレーターとして働くのもおすすめです。

    インテリアコーディネーターやデザイナーのアシスタントとして入職すれば、実際の仕事を身をもって体験しながら業界経験を積むことができるでしょう。

    ぜひこの機会にCADの技術も身に付けて、インテリアのスペシャリストを目指してみてくださいね!

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