無料の高機能3DCAD!Fusion360とはどんなソフト?

無料の高機能3DCAD!Fusion360とはどんなソフト?

3DCADソフトと言えば高額であることで知られていますが、このFusion360(フュージョン360)はなんと実質無料!そして通常なら数十万はする有料の3DCADと変わらない高機能を搭載しています。しかもこれまでの3DCADと違って操作も驚くほど簡単。さらに3Dの立体図形を作るだけでなく、2D図面の作図までできてしまう優れたアプリなのです。

1.Fusion 360とは?

まず最初に、Fusion360は「フュージョンスリーシックスティー」と読みます。このFusion360(フュージョン360)は、AutoCAD(オートキャド)と同じオートデスク社からリリースされている3DCADアプリです。それではさっそくどんなアプリなのか?特徴から順に見ていきましょう。

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1-1.アプリの主な特徴

Fusion360(フュージョン360)の最大の特徴は、CADソフトには珍しくクラウドベースで動くという点です。

クラウドベースのFusion360は、クラウドと呼ばれるインターネット上に存在する目に見えないサーバーを通じで動かすので、インターネットに接続されたパソコンとブラウザさえあればいつでもアプリにアクセスできます。

逆を言えば、インターネットのない環境ではクラウドに接続することができないので、基本的にはアプリを使うことができません。

しかしいくらクラウドベースで動くアプリだとしても、ソフト自体がクラウドにあるわけではありません。

そのためFusion360は、公式サイトからソフトをダウンロードし、一度お手持ちのパソコンにインストールする必要があります。そしてその中で作成したデータが自動的にクラウドに保存され、そこで管理されるという仕組みになっています。

クラウドベースであることの一番のメリットは、最初にメールアドレスを登録してアカウントを作成しておけば、ネットに繋がった環境であればいつでもどこでも、データを見ることができるということです。

他の誰かとデータを共有したい場合も、専用のURLを知らせるだけでOK。従来のように重たいデータをコピーして渡したりする必要もありません。

このように、すべての作業工程をクラウド上で管理することができるので、データ管理だけでなく、チームで利用する際にも共有がスムーズに行えます。

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1-2.アプリの主な機能

Fusion360(フュージョン360)の主な機能は次の通りです。

  • モデリング
  • 3Dの立体モデルを作る
  • アセンブリ
  • 複数の3Dモデルのパーツを組み合わせる
  • レンダリング
  • 3Dモデルに色や影を付けることでよりリアルに可視化する
  • アニメーション
  • 作った3Dモデルを実際に画面上で動かし、構造や機能を確認する
  • シミュレーション
  • 現実に起こりうる様々な状況を予測し、3Dモデルを使って製造前に機能を解析する
  • CAM
  • CADで作成された3Dモデルを元に、機械を操作する為の製造加工プログラムを作成
  • 作図
  • 3Dの立体モデルを元に、2Dの図面(平面図)を作る
  • 追跡・コメント・共有
  • データの進捗を追跡管理してコメントしたり、複数の人とデータを共有できる
  • データの出力
  • 3Dプリンタを使って実際に立体モデルを造形できる

「3Dモデル」とは、3Dで作られた立体図形のことです。そして3Dモデルを作ることを「モデリング」と呼びます。3Dについての詳しくは2DCADと3DCADの違いは?を参照してください。

またFusion360は「こんな機能があったらいいな」「こうしたらもっと使いやすい」など、新機能や機能強化のアイデアについて、「Idea Station(英語のみ)」でユーザーから募集し、その要望を元に、6~8週間ごとに新機能を追加・公開しています。

このようにFusion360は、常にバージョンアップを重ねながら日々進化をし続ける、まさに次世代の3DCADなのです。

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1-3.Fusion 360の価格は実質無料!

Fusion360(フュージョン360)には無料体験版が用意されています。

そして学生や教育機関、非営利団体、スタートアップ企業、趣味で使う個人や愛好家であれば30日の無料期間を過ぎても無料で使い続けることができるので、価格は実質無料ということになります。

ただしFusion360を業務として使用する場合は、サブスクリプション契約をする必要があります。以下のいずれかのコースで定期購入を行うと、すべての機能を継続して利用することが可能になります。

体験版 スタートアップ企業 学生 Fusion 360 Standard Fusion 360 Ultimate
価格 無償 無償 無償 ・1か月5,400円(税込) ・1か月24,840円(税込)
・1年間39,960円(税込) ・1年間196,560円(税込)
・3年間119,880円(税込) ・3年間589,680円(税込)
適用条件 評価用に 30 日間の無償アクセス 年間売上高が 10 万ドル未満の愛好家とスタートアップ企業 学生および教育機関 年間売上高が 10 万ドル以上の個人またはチーム 年間売上高が 10 万ドル以上の個人またはチーム
ソフトウェア タイプ Fusion 360 Ultimate Fusion 360 Ultimate Fusion 360 Ultimate Fusion 360 Standard Fusion 360 Ultimate

出典: Fusion 360 |オートデスク

学生、教育機関、趣味の工作、スタートアップ向けには、Fusion360のフル機能を使うことができるUltimateバージョンが提供されます。

Ultimateバージョンは、Standardバージョンと比較してさらに多くの高度な機能を使うことができます。詳しい内容についてはこちらをご参照ください。

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2.Fusion 360でできること

ではFusion 360を使うと、実際にどんなものを作ることができるのでしょうか?

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2-1.どんな3Dモデルを作成できるの?

Fusion 360ではあらゆる分野の3Dモデルを作成することができます。

機械部品や服のパーツのような細かいものはもちろん、コップやグラスなどの日用品も簡単に3Dでデザインすることができます。他にはテーブルや椅子、ソファなどの家具や、家やビルなどの建築物も、思いのままにビジュアル化することが可能です。

さらに車やジュエリーなどの複雑なものだけでなく、2Dのキャラクターなども立体的な3Dにモデリングできてしまいます。

そして特筆すべき点は、Fusion360には「スカルプト」という特有のモデリング機能があるということです。

このスカルプト機能を使うと、なんと画面上で粘土をこねるような感覚で手軽に形状を作ることが可能に。単純な操作のみで、思った通りの形にイメージを素早く具現化してしまいます。

それによって椅子の背もたれや車体のような、従来の3DCGソフトだと手間のかかる曲面の形状を作成する手順も非常に簡単です。

また他の3DCADや3DCGソフトと比べ、手順が簡単で工程もいたってシンプル。そのためこれまで3Dに対して苦手意識のあった方でも、遊び感覚で手軽にさまざまなオブジェクトを作ることができます。

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2-2.どんな2D図面を製図できるの?

Fusion 360は、ドラフト機能(図面機能)を使えば3Dモデルから2D図面を作成することが可能です。

その手順ももちろん簡単です。操作方法は、3Dモデルをクリックで選択し「デザインから図面を新規作成」を押すだけ。そうすると、あっという間に2D図面が出現します。あとは寸法や文字を配置し、図面を仕上げるだけです。

アプリには断面図と詳細図を作成する機能がありますが、部分断面図の機能はついていませんが、平面図を描く上で最低限必要な、用紙設定や線分などの機能は全部そろっています。

また3Dモデルと2D図面が連動しているので、3Dモデルを変更すれば同時に2D図面にもその変更が反映されるのが、単なる2DCADとは異なる大きなポイントです。

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2-3.MacやiPadでも使えるの?

Fusion 360はWindowsだけでなくMacでもフル機能を同様に使うことができます。

そして、iPad用のアプリでは3Dデータを見るだけの ビューワーとしてのみ使うことができます。またAndroidでも同じくビューワーとしてもアプリとなりますが、マウスを使うことができるので、より微細なパーツを選択表示することが可能です。

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3.Fusion 360はこんな人たちにおすすめ!

Fusion 360(フュージョン360)は主にこんな人たちにおすすめです。

個人の場合

  • 3Dでモノづくりをしてみたい人
  • これまで3DCADや3DCGはハードルが高いと諦めていた人
  • これから3DCADに挑戦してみたいと考えている学生
  • オリジナルのコップや日用品などを作ってみたい女性
  • 好きな2次元キャラクターを3次元化したい人
  • 作ったモノを3Dプリンタで具現化してみたい人

組織の場合

  • これから3Dでモノづくりを始めたい小さな組織
  • 安価なツールでクオリティの高いデザインを目指す組織
  • 高額な試作コストを削減したい組織
  • ミッドレンジCADの保守費用を抑えたい組織
  • チーム内のコミュニケーションを円滑に制作したい組織
  • 2次元設計に限界を感じている組織

企業の場合

  • コンシューマー製品を扱う企業: 家電、家具、生活用品、スポーツ用品、宝飾など
  • パッケージデザインが必要な企業: 食品、化粧品など
  • ヘルスケア・メディカル関連の企業: 医療機器、健康機器など
  • 工業デザイン事務所: 工業デザイン全般
  • 製造受託企業: 部品、試作、カスタム品など
  • 解析が必要な企業: 設計製品全般

またFusion 360はさまざまなファイルフォーマットに対応しているため、他のソフトとも互換性が高いのも特徴。そのため、SOLIDWORKS(ソリッドワークス)やIllustrator(イラストレーター)、AutoCAD(オートキャド)などのソフトを使っている方にもおすすめです。

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4.Fusion 360を快適に使うには?

Fusion 360(フュージョン360)を快適に使うには、操作するパソコンのスペックによって使い勝手に大きく差が出ます。ここでは推奨されるパソコン環境や、快適に操作するためのヒントをいくつかご紹介します。

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4-1.メーカー推奨の動作環境

推奨の動作環境は次の通りです。

Autodesk Fusion 360 の動作環境
オペレーティング システム Apple® macOS™ High Sierra v10.13、Apple® macOS™ Sierra v10.12、Mac® OS® X v10.11.x(El Capitan)注:Mac OS X v10.10.x(Yosemite)はサポートされていません。
Microsoft® Windows® 7 SP1、Windows 8.1、Windows 10 (64 ビット版のみ)
CPU の種類 64 ビット プロセッサ(32 ビットはサポートされていません)
メモリ 3 GB の RAM (4 GB 以上を推奨)
グラフィックス カード 512MB 以上の GDDR RAM (Intel GMA X3100 を搭載しているカードを除く)
ディスク空き容量 2.5 GB
ポインティング デバイス マイクロソフト社製マウスまたはその互換製品、Apple Mouse、Magic Mouse、MacBook Pro Trackpad
インターネット ADSL 以上のインターネット接続速度

出典: Fusion 360 |オートデスク

お手持ちのパソコンが推奨の条件を満たしているか、事前にチェックしてみましょう。

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4-2.パソコンのスペックで注意すべき点は?

パソコンで画面を表示するためにビデオ出力の機能を司るのがグラフィックボードです。

2D図面ではそれほど気にならなかったグラフィックも、3DCADになるとグラフィック性能によってパソコンのモニタに表示できる解像度や、綺麗な3D画面の描画などに大きく差が出ます。

3DCADや3DCGを操作するなら、通常よりもハイスペックなパソコンであるほうが動作もスムーズですが、特にグラフィックボードの性能が劣ると、画面の表示が荒れる場合もあります。

デスクトップパソコンであれば、グラフィックボードのみをハイグレードのものに部品交換をすることができますが、ノートパソコンの場合は後からパーツの交換ができないものが多いので注意が必要です。

これから3DCAD用にパソコンを購入する人は、グラフィックボードのグレードが少しでも高い製品を検討するとよいでしょう。

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4-3.操作や動作が重いときは?

3Dデータを操作していると、どうしてもパソコンの動作が遅くなる時があります。

Fusion 360も同様、スペックがそれほど高くないパソコンで作業していると頻繁にフリーズすることも。そんな時に試していただきたいのがこちらの操作です。

Fusion 360の画面右上にある「ヘルプ」をクリックし、「サポートの診断」→「グラフィックスの診断」をクリックします。

するとこのようなダイアログが出るので、一番下の「最適なパフォーマンスを得るためにすべての効果を制限」にチェックを入れます。

このようにグラフィックスの効果の設定が変わるので、このまま「閉じる」で終了します。

たった1か所チェックを入れるだけで、操作環境が劇的にアップするので、動作が遅いと感じている方は是非お試しください。また、この操作を行うと動作が早くなる分グラフィックス性能が少し劣るので、元に戻したい場合はチェックを外しましょう。

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5.Fusion 360を習得するには?

Fusion 360(フュージョン360)はフリーのCADアプリなので基本的には独学です。数年前までは専用の書籍も販売されていなく、日本語のマニュアルはほとんどないような状況でしたが、現在ではどなたでも習得しやすいように、わかりやすいテキストやチュートリアルなども多数用意されています。

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5-1.本を読んで学ぶ

独学で学ぶなら、基本操作について分かりやすく書かれた参考書を一冊手元に用意しておくと安心です。まったくの初心者の方が、最初に揃える1冊におすすめの本はこちらです。

Fusion 360 マスターズガイド ベーシック編

小原 照記 (著), 藤村 祐爾 (著)

本書は実質無償で利用できる3DCADソフト「Fusion 360」の入門ガイドです。
ペン立て、お菓子の型、椅子、ミニ四駆ボディといった演習を通して、「ソリッドモデリング」「サーフェスモデリング」「スカルプトモデリング」の作成プロセスを端折らずに解説します。
また、ロボットを利用した「アセンブリ」「アニメーション」「図面」の作成方法、作品を美しく見せる「レンダリング」、さらには3Dプリントの仕組みとプリント方法まで、初心者が知りたい技法を幅広く解説します。

【目次】
Prolog 序章 Fusion 360の基礎知識
Chapter1 基本操作を覚えよう
Chapter2 ペン立てをつくろう
Chapter3 コマをつくろう
Chapter4 マグカップをつくろう
Chapter5 チョコレートの型をつくろう
Chapter6 ロボットの組立と図面をつくろう
Chapter7 スカルプトモデリングの基本
Chapter8 リクライニングチェアをつくろう
Chapter9 ミニ四駆ボディをつくろう
Chapter10 レンダリングを楽しもう
Chapter11 3Dプリントを楽しもう

出典:amazon

著者はAutodesk Knowledge Network閲覧数「世界一」として表彰された小原照記氏、そしてAutodesk社でFusion 360エヴァンジェリストを務める藤村祐爾氏です。

こちらの本では、実際の教育現場やセミナー、さまざまなワークショップで豊富な指導経験をもつ2人の著者が、初心者の方向けに基礎からやさしく解説しています。

またこのテキストで提供されるデータは以下の通りです。

・お菓子の型のイラストデータ
・アセンブリ、アニメーション、図面用ロボットデータ
・演習用ロボットのデータ(Web限定動画付き)
・リクライニングチェアの人物データ
・ミニ四駆ボディ用シャーシデータ
・ミニ四駆ボディ完成サンプルデータ
・レンダリング用練習データ
・デカール用データ

その他、難しい課題には、分かりやすい動画もそれぞれ用意されています。

これ一冊で3Dモデリングの基本から応用まで、重要なことのほぼすべてを学ぶことができます。初心者の入門書としてだけでなく、中級者以上の方の技術や知識を補う一冊として活用することができるでしょう。

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5-2.無料の公式チュートリアルで学ぶ

Fusion 360のリリース元であるオートデスク社では、基本的な使い方を動画で学べる合計12本のチュートリアルを無償で提供してます。チュートリアルで習得できる内容は次の通りです。

  • スケッチ
  • インポート
  • モデリング
  • アセンブリ
  • 管理
  • 図面
  • コラボレーション
  • シュミレーション
  • CAM
  • スカルプト
  • パッチ
  • SOLIDWORKSからの移行ガイド

・公式チュートリアル: 【Fusion 360 の基本操作】60 分間で学べる 12 本のチュートリアル

音声は英語ですが、すべて字幕付きです。この動画ではFusion360を操作するにあたり、知っておくべき基本操作を実際の画面で確認しながらわかりやすく学ぶことができます。

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5-3.無料の公式オンラインセミナーで学ぶ

オートデスク社では、チュートリアルと同じく、3DCADの基礎やFusion360の具体的な使い方について学べる動画を無料で配信しています。

・公式オンラインセミナー:基礎3D CAD オンラインセミナー

このWebセミナーでは「動画で学ぶ!オンラインセミナー」として、実際の講習・講座のように、3Dの基礎からモノづくりの未来についてまで学べる動画が計10本の用意されています。

他にも、YouTubeではFusion360の日本向け公式チャンネルを公式配信しています。

・YouTube:公式チャンネルFusion 360 Japan

こちらでは、初心者だけでなく、すでにFusion360を使ってモノづくりの仕事をしている方など、中級~上級向けの方にも役に立つ動画が多数アップされています。

動画の内容もクオリティが高いものばかりなので、講習会や有料のセミナーに通わなくても、YouTubeさえ視聴できる環境があればいつでもどこでも無料で学習できてしまいます。

参考書や公式チュートリアルで基礎を身に付けた方は、是非公式チャンネルを視聴してさらなるスキルアップを目指してみましょう。

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6.まとめ

これまでは、初心者には難しく一般的にも敷居が高く難しいと言われていた3DCAD。そのイメージを見事に覆したのが「Fusion360」です。

ここまでご紹介してきたように、斬新かつ画期的なFusion360にはたくさんの魅力があります。そんなFusion360は、これまで「3Dなんて私には無理!」と諦めていた女子や、なにかモノづくりに携わってみたいと漠然と考えている方にも是非ともおすすめ。

すべての方が使いやすいようにあらゆる機能が分かりやすく作られているので、3Dに少しでも興味のあるという方はこの機会にチャレンジしてみてください。

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