【2019年最新】3次元CAD利用技術者試験|過去問の例題と注意点を解説

【2019年最新】3次元CAD利用技術者試験|過去問の例題と注意点を解説

近年CADオペレーターの間で最も注目されている「3次元CAD利用技術者試験」。本記事では2018年度の公式ガイドブックから2級・準1級・1級ごとに最新の過去問をピックアップ。また準1級・1級の実技試験における解答時の注意点も詳しく解説しています。特に3次元2級についての最新例題を知りたい方は必見です。サンプル問題や各級の出題傾向の他にも、受験対象者のレベルや合格ライン、難易度や合格率も事前にチェックしてみましょう。

1.3次元CAD利用技術者試験〈最新〉過去問の出題例は?

3次元CAD利用技術者試験とは、CAD利用技術者試験の3次元部門の試験名称のこと。

3次元部門では、縦と横の長さだけでなく「高さ」と「奥行き」を立体的にイメージしながら問題を考える必要があります。特に準1級・1級の実技試験については、2次元部門に比べると難易度はかなり高め。

技術と知識の習熟度によって、2級・凖1級・1級と3つのレベルに分けられていますが、それぞれの試験ではどんな問題が出題されるのでしょうか?

現在出版されている最新の公式ガイドブックは≪2018年度版≫です。(※2019年2月時点)

ここではその中に掲載されている2017年度の最新過去問を元に、各等級の出題例の一部を抜粋してご紹介します。

準1級・1級の実技問題については一部省略している箇所もあります。その場合は、どのような設問内容でモデリングしていけばいいのかを参考にしてください。

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1-1.3次元CAD利用技術者試験 2級

※2017年度 前期試験より
【問】次の設問1~16について、記載の内容が正しければ1を、間違っているなら2を選び、解答記入欄にマークしなさい。

設問1
ソリッドモデル以外の3次元CADの図形要素では、NCツールパスの計算をすることができない。
解答:2

設問9
3次元レーザースキャナには、対象物の高度な3次元座標(点群)データを短時間で取得できるという利点がある。
解答:1

設問11
ファイヤーウォールは、LAN内部の者に対する不正アクセス防止にも有効である。
解答:2

※2017年度 後期試験より
【問】次の設問17~20について、最も適切なものを解答群より選び、解答記入欄にマークしなさい。

設問17
製品のライフサイクル全般を対象として全体の最適化を図ろうとする管理手法は、次のうちどれか。
解答群17
[1]BPR
[2]PLM
[3]ERP
解答:2

設問18
3次元形状モデリングに必要な機能を提供するライブラリの一種で、3次元CADの核となるものは次のうちどれか。
解答群18
[1]カーネル
[2]アノテーション
[3]セグメント
解答:1

設問20
部品や図面などの設計対象物に付属する性質や特徴を示す情報は、次のうちどれか。
解答群20
[1]構成情報
[2]特性情報
[3]属性情報
解答:3

・2018年 日経BP社出版 一般社団法人コンピュータ教育振興協会『 CAD利用技術者試験 3次元公式ガイドブック』より一部抜粋

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1-2.3次元CAD利用技術者試験 準1級

※2017年度 後期試験より
【問】
次の投影図で示されるソリッドモデルを作成しなさい。
また設問4から設問7について、適切なものを解答群より1つ選び、解答記入欄にマークしなさい。

★モデリング目標時間:準1級30分/1級15分
※この問題は準1級・1級共通
※設問4~7は省略

・2018年 日経BP社出版 一般社団法人コンピュータ教育振興協会『 CAD利用技術者試験 3次元公式ガイドブック』より一部抜粋

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1-3.3次元CAD利用技術者試験 1級

※2017年度 前期試験より
【問】
q-8、q-9の投影図で示される2つのソリッドモデルを作成し、アセンブリ機能によりソリッドモデルを組み立てなさい。続けて、q11、q-12の投影図で示される2つのソリッドモデルを作成し、アセンブリ機能により全てのソリッドモデルを組み立てなさい。
また、設問8から設問13について、適切なものを解答群より1つ選び、解答記入欄にマークしなさい。

★モデリング目標時間: 1級45分

<座標方向・座標原点(点O)>
解答群(体積値および重心座標値)
[1] 1.768×10⁵ X:3.952×10 Y:8.520 Z:2.609×10
[2] 1.768×10⁵ X:3.954×10 Y:8.522 Z:2.611×10
[3] 1.770×10⁵ X:3.954×10 Y:8.522 Z:2.611×10
[4] 1.770×10⁵ X:3.956×10 Y:8.524 Z:2.613×10
[5] 1.772×10⁵ X:3.956×10 Y:8.524 Z:2.613×10

解答:5
※q-9は省略

・2018年 日経BP社出版 一般社団法人コンピュータ教育振興協会『 CAD利用技術者試験 3次元公式ガイドブック』より一部抜粋

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2.注意点は4つ!実技試験の解答で気を付けることは?

準1級と1級では3DCADを使った実技試験が実施されます。ここからは、公式に謳われている実技試験解答時の注意点4つを、最新公式ガイドブックよりそれぞれ一部抜粋してご紹介します。

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2-1.設問内容を確認してからモデリングする

2次元図面を基に3次元モデルを作成する設問では、受験者の見落としや時間切れなどによってモデルの一部分ができていなくても、途中形状のマスプロパティ※を計測することで、モデリングができている部分の得点が得られる配慮されている。

解答モデルの中の一部が作成されていなくても、設問で指定されている面の表面積を計測し、解答群から正解答を選択することでその部分に対しての点数が与えられる。

しかし、設問の内容を確認せずにモデリングを進めてしまうと、モデリングの途中でも解答できるものも見落としてしまう可能性があるので、問および設問の内容を確認してからモデリングする。

・2018年 日経BP社出版 一般社団法人コンピュータ教育振興協会『 CAD利用技術者試験 3次元公式ガイドブック』より一部抜粋

※マスプロパティとは、3次元モデルの質量や表面積、重心などといった形状モデルの特性の総称のこと。

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2-2.原点位置と座標方向を合わせる

最近の3次元CADは、より手軽にモデリングできるように工夫されているので、座標系を意識しなくても適当な場所にスケッチを描いて部品(パーツモデル)を作成できるようになっている。

しかし、実際の製品設計や設備設計に3次元CADを利用する場合は、必ず座標系を元にして基準(データム※)を設定する。

そのため3次元CAD利用技術者試験の実技試験では、この座標系を重視し、各設問にはモデリングする場合の原点位置および座標方向が指定されている。解答モデルを作成するときは、必ずこの原点位置と座標方向に合わせてモデリングを行う。

アセンブリモデルの作成は、必ずこれに合わせて行う。部品の解答モデルがすべて正解し、アレンぶりモデルも形状としてはできているにもかかわらず、原点位置や座標方向が間違っているケースも少なくないので、アセンブリモデルに関する設問では十分に気を付けたい。

座標系を意識しないモデリングに慣れてしまっている受験者も多いと思われるが、受験前に必ず座標系を考慮したモデリングの習得することが重要である。

・2018年 日経BP社出版 一般社団法人コンピュータ教育振興協会『 CAD利用技術者試験 3次元公式ガイドブック』より一部抜粋

※データムとは「基準」のこと。英語では“Datum”と書き、和訳もそのまま“基準”。物体を測定し、幾何公差を求めるための幾何学的基準を指す機械設計用語。

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2-3.マスプロパティ計測の方法を習得しておく

実技試験では、モデリングの経過や結果の当否を判断するため、解答モデルの表面積や体積、重心と言ったマスプロパティを計測し、その値にもっとも近いものを解答群から選ぶ、という解答方式をとっている。

そのため、自分が受験の時に使う3次元CADで、マスプロパティを計測する方法を習得しておかなければならない。

なお、計測は、3DCADのデフォルト設定の精度のまま行うこととする。設定を変更し、高い精度で計測を行うと、計算に時間がかることがあるので、必ず事前に確認してデフォルト値に戻しておく。

・2018年 日経BP社出版 一般社団法人コンピュータ教育振興協会『 CAD利用技術者試験 3次元公式ガイドブック』より一部抜粋

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2-4.寸法値に注意してモデリングする

実技試験では、基本的な形状を正確にモデリングすることを重要視しているので、実際の機械部品をモデリングするような設問では、まず基本形状を正確に作成してからフィレットや面取りなどの詳細部分を作成していく手順を想定している。

また図面から形状を把握し、正確な3次元モデルを作成するためには寸法を正確に読み取り入力していくことも重要である。基本形状はもちろん、穴の直径やフィレットの半径なども3次元モデルの表面積や体積、重心と言ったマスプロパティに影響を及ぼすので、解答時には寸法を間違えないように十分に注意する。

・2018年 日経BP社出版 一般社団法人コンピュータ教育振興協会『 CAD利用技術者試験 3次元公式ガイドブック』より一部抜粋

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3.受験対象者のレベルは?試験内容と合格ラインを解説

ポイントを押さえながら効率よく過去問を解いていくためにも、各等級の試験内容をいま一度おさらいしておくと万全です。 ここでは試験の出題形式や合格ラインのほか、どんな人が受験対象者なのかもあわせて確認しておきましょう。

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3-1.3次元CAD利用技術者試験 2級

  • 受験形態
  • ・筆記試験

  • 試験時間
  • ・60分 11:00~12:00

  • 試験内容
  • ・3次元CADの概念
    ・3次元CADの機能と実用的モデリング手法
    ・3次元CADデータの管理と周辺知識
    ・3次元CADデータの活用

  • 試験方法
  • ・マークシート方式による多肢選択および真偽方式(60問)

  • 合格ライン
  • ・5割以上、および総合7割以上の正解を合格基準

  • どんなスキルレベルの人が受験対象者?
  • 3次元CADシステムを操作するための必要な基礎知識や、その運用方法と活用手法などを理解している人

出典:3次元CAD利用技術者試験 – 一般社団法人コンピュータ教育振興協会

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3-2.3次元CAD利用技術者試験 準1級

  • 受験形態
  • ・実技試験

  • 試験時間
  • ・120分 10:00~12:00/13:30~15:30
    ※実技試験開始60分後から終了10分前まで解答等提出後に退出が可能です
    ※10:00~12:00は「併願受験」では選択できません

  • 試験内容
  • ・CADリテラシー、形状認識能力
    ・2次元図面からのパーツモデリング能力

  • 試験方法
  • ・3次元CADソフトを使用したモデリング(パーツのみ)
    ・作成したモデルの体積、表面積などを測定後、
     解答群の中からもっとも近い値を選択してマークシートに記入する

  • 合格ライン
  • ・5割以上、および総合7割以上の正解を合格基準

  • どんなスキルレベルの人が受験対象者?
  • 3次元CADシステムを使って、基本的なパーツ作成をできる人

出典:3次元CAD利用技術者試験 – 一般社団法人コンピュータ教育振興協会

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3-3.3次元CAD利用技術者試験 1級

  • 受験形態
  • ・実技試験

  • 試験時間
  • ・120分 10:00~12:00/13:30~15:30
    ※実技試験開始60分後から終了10分前まで解答等提出後に退出が可能です
    ※10:00~12:00は「併願受験」では選択できません

  • 試験内容
  • ・CADリテラシー、形状認識能力
    ・アセンブリモデリング能力
    ・2次元図面からのパーツモデリング能力

  • 試験方法
  • ・3次元CADソフトを使用したモデリング(パーツおよびアセンブリ)
    ・作成したモデルの体積、表面積などを測定後、
     解答群の中からもっとも近い値を選択してマークシートに記入

  • 合格ライン
  • ・5割以上、および総合7割以上の正解を合格基準

  • どんなスキルレベルの人が受験対象者?
  • 3次元CADシステムを使って、実践的なパーツの作成やアセンブリができる人

出典:3次元CAD利用技術者試験 – 一般社団法人コンピュータ教育振興協会

各分野とも合格ラインの正解率は共通して「5割以上、および総合7割以上」です。

試験時間は、地域により選択できる試験時間帯が異なります。詳しくは、申込画面上で各自確認するようにしましょう。

各試験詳細についてはこちらに詳しく一覧がありますので是非ご参照ください。

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4.3次元CAD利用技術者試験の難易度はどれくらい?

3次元CAD利用技術者試験は一般的に難易度が高めと言われていますが、2級に関しては筆記試験のみなので、知識さえ覚えてしまえば問題自体はさほど難しくありません。

2級試験において最も重要なのは、暗記力です。

3DCADを操作するうえでの基本スキルや、3次元図面を操作するために必要となるごく初歩的な図面の読み方について身に付けておけば解ける問題ばかりなので、しっかり反復練習すればクリアできるでしょう。

とは言え、CADや製図ならではの専門用語はたくさん出てくるので、まったくの初心者の方は問題を読んだときに分からない用語がないようにしておく必要があります。

実際の試験は、複数の選択肢の中から選ぶ「多肢選択方式」で出題されます。ひっかけ問題に注意しながら解いていく必要がありますが、設問数60問に対して、試験時間は60分となっているので1問当たり1分で解いていかなくてはなりません。

後半の解答欄を埋められないことがないように、時間配分には十分気配慮しながらミスのないようにスピード感を持って設問に挑むことが大切です。

また1級と準1級については、上記で紹介した過去問の例題のように、指定された条件に沿ってソリッドモデルを作成します。そして体積値や座標値を計測した後、各設問の答えに対して最も近い数値を選んで解答する…という流れで順番に問題を解いていきます。

各問題には、その問題を解く時間の目安が表記されていますが、設定されている時間以上かかってしまうようだと、あっという間にタイムアップを迎えることに。

このように2級試験において培った知識だけでなく、決められた時間内で設問の意図を汲み取り、正確なモデリングを行うスキルがさらに必要となるため、難易度は非常に高いと言えるでしょう。

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5.3次元CAD利用技術者試験の合格率はどれくらい?

出典:3次元CAD利用技術者試験 – 一般社団法人コンピュータ教育振興協会

これは直近3年間における、3次元CAD利用技術者試験の受験者数と合格者数を示したグラフです。

このグラフを見ると、この3年間で、2級の受験者数は約1.8倍にも増加。

受験者数に比例して合格率も上がっていることからも、3DCADの知識を有するCADオペレーターが一般的に増加傾向にあることを反映しています。

一方凖1級に関しては、合格率の幅が約11%~約47%と幅があることから、開催年よって出題される問題にかなり難易度の差があったことが分かるでしょう。

また1級の受験者数は、3年間と比べても200人程度の増加となっていますが、合格率は5~6%も上昇。

とは言え、3次元CAD利用技術者試験の資格保持者の絶対数は、一般的にはまだそう多くはありません。

総じて、3DCADの知識と技術を総合的に測るこの試験は難関傾向にありますが、もし挑戦するなら今が絶好のチャンスです。

資格保持者が少ないうちに取得しておけば貴重な人材となるため、就職や転職にも必ず有利となるでしょう。

各級ごとのさらに詳しい合格率を知りたい方はこちらをご参照ください。

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6.3次元CAD利用技術者試験の過去問をもっと知りたい時は?

ここまで3次元CAD利用技術者試験の過去問について詳しくご紹介してきましたが、いかがだったでしょうか?

今回ご紹介した過去問は、最新公式ガイドブックのほんの一例です。

「他にどんな問題がでるのかもっと知りたい」という方は、書店で公式ガイドブックを購入しましょう。

2018年度版CAD利用技術者試験3次元公式ガイドブック

コンピュータ教育振興協会 (著)

【内容紹介】
CADと製図の基本技術を身につけよう。試験は公式ガイドブックに準拠して出題されます。2級試験と基礎試験のサンプル問題付き。

【内容】
コンピュータ教育振興協会が主催している「3次元CAD利用技術者試験」を受験する人のための公式ガイドブック(学習書)です。機械・製造系3次元CADを仕事で使いこなせるようになることを目指します。3次元CAD利用技術者試験には、3次元CADの技能の問題が出題される「1級」と「準1級」と、3次元CADの基本知識の筆記問題が出題される「2級」の3種類があります。平成29年度の1級・準1級の試験問題とその解答を掲載しています。

出典:amazon

また、3次元CAD利用技術者試験についてもっと詳しく知りたい時は、次の記事をご覧ください。

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3次元CAD利用技術者試験とは?合格率・難易度・推奨ソフトなど徹底解説

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7.まとめ

2DCADと比べると、3DCADを操作できる人の数はまだ多くありません。

これからの設計業界は、機械も建築もあらゆる分野で3次元CADを扱える人材が求められつつありますが、あらゆる設計の基本となるのは2次元図面です。

「図面を一度も見たことがない」という全くの初心者の方であれば、まずは2DCADの習得から始めてみるのも選択肢のひとつ。

中には、2DCADの中でも世界的なシェアを誇るAutoCADの使い方を無料で教えてくれるスクールもあります。

2DCADの操作方法や図面の基本的な書き方を身に付けられるだけでなく、未経験者の方にも就職までしっかりサポートしてくれるのでスキルが無駄になることもありません。

→ 無料の就職支援CADスクール「lulucad」

毎日仕事で図面を描くようになると、否が応にもCAD操作に慣れてくるものです。こうしてAutoCADの2次元操作にある程度慣れてきた段階で、3次元CAD利用技術者試験の受験を視野に入れてもよいでしょう。

CAD利用技術者試験には2次元分野もあるので、独学でも目指せる2次元2級試験の取得を先に目指してみるのもおすすめですよ。

2次元CAD・3次元CADの種類や、CAD利用技術者試験の過去問勉強方法については、以下の記事を参考にしてみてくださいね。

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