【AutoCADの基本】ショートカットコマンド「エイリアス」とは？

AutoCADには、「エイリアス」と呼ばれるショートカットコマンドが存在します。エイリアスとは、英語で「通称・別名・あだ名」のこと。この記事では、AutoCADにおけるエイリアス機能の使い方とメリットについて詳しく解説。実務に役立つ基本のエイリアスをまとめた一覧表もご紹介します。短縮コマンドを使いこなせると素早く作図できるので、これからCADオペレーターを目指す方はぜひ覚えておきましょう。

１．AutoCADのエイリアスとは？

AutoCADにおけるエイリアスとは、フルコマンドを短くしたショートカットコマンドのことです。

一般的に「短縮コマンド」と呼ばれるだけあり、エイリアスを知っておくだけで作図スピードがぐんとアップします。

まず最初は、エイリアス入力をおすすめする理由から解説。ショートカットコマンドの使い方や実務で役立つエイリアス一覧も一緒にチェックしていきましょう。

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１－１．AutoCADで短縮コマンド入力がおすすめな理由は？

AutoCADでの作図方法は、次の2つ。

・リボンパネルからコマンドを指定して作図する
・キーボードから直接コマンドを指定して作図する

どちらの方法でも結果は同じですが、手早く作図したいのであれば、キーボードから直接エイリアスを入力する方法が便利です。

実際の仕事場において、CADオペレーターにはスピーディーな入力が求められます。

もちろんリボンでも素早い作図は可能ですが、作図スピードを比較するとコマンド入力の方が圧倒的に有利。

なぜならパネル内のメニューをマウスで辿っている間に、少なくとも3つの図形を作図することができるので、実際の業務でも超高速な作図が可能だからです。

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１－２．AutoCADにおけるエイリアスの使い方は？

AutoCADのエイリアスは、コマンド正式名称のアルファベットの頭文字、または上から2文字を取って付けられています。

例えば、円のコマンドは「CIRCLE」なので、エイリアスは「C」。

キーボードでCと入力しEnterで決定するだけの2ステップで、簡単に円を描くことが可能です。

またAutoCADで作図する際は、右手はマウス操作のみ。

エイリアスの入力と決定操作を行うキー操作は、すべて左手となります。

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１－３．ぜひ覚えておきたい！便利なエイリアス一覧表

ここからは、実務で役立つエイリアスをご紹介。

一般的な作図でよく使うエイリアスを一覧表にまとめました。★のついているコマンドは、実務で頻繁に使うエイリアスです。

また覚えるべき優先順位は、以下のとおり。

★・・・・・優先度：低
★★・・・・優先度：中
★★★・・・優先度：高

最初からすべて覚える必要はありませんので、まずは★★★のコマンドから1つづつ覚えてみましょう。

	エイリアス	正式名称	日本語名	備考
★★	A	ARC	円弧
★	AR	ARRAY	配列複写
	B	BLOCK	ブロック登録
	BR	BREAK	部分削除
	CHA	CHAMFER	面取り
★★★	C	CIRCLE	円
★★★	CO,CP	COPY	複写	※CO、CPどちらでも可
	ED	DDEDIT	文字編集
	D1	DIM1	寸法記入	※LTのみ
★★★	DI	DIST	距離測定
★★	DL	DLINE	2重線	※LTのみ
	DIV	DIVIDE	分割
	DO	DONUT	ドーナツ
★	EL	ELLIPSE	楕円
★★★	E	ERASE	削除
★★★	X	EXPLODE	分解
★★★	EX	EXTEND	延長
★★★	F	FILLET	フィレット
	G	GROUP	グループ
★★	H	HATCHING	ハッチング
★★★	L	LINE	線分
	LTS	LTSCALE	線種尺度
★★	MA	MATCHPROP	プロパティコピー
	ME	MESURE	メジャー
★★★	MI	MIRROR	鏡像
★★★	M	MOVE	移動
★	MT	MTEXT	マルチテキスト	※段落文字
	N	NEW	新規作成
★★★	O	OFFSET	オフセット
	P	PAN	画面移動
	PE	PEDIT	ポリライン編集
★★	PL	PLINE	ポリライン
	PO	POINT	点
	POL	POLYGON	ポリゴン
	PU	PURGE	名前削除
★★★	REC	RECTANG	長方形
	R	REDRAW	再描画
★★	RE	REGEN	再作図
★★★	RO	ROTATE	回転
	SA	SAVE	ファイルを保存	※名前を付けてファイルを保存はSAVEAS
★★	SC	SCALE	尺度変更
★	SPL	SPLINE	スプライン
	SPE	SPLINEDIT	スプライン編集
★★	S	STRETCH	ストレッチ
	ST	STYLE	文字スタイル管理
★	DT	TEXT	文字記入	※一行文字
★★★	TR	TRIM	トリム
★★★	U	UNDO	元に戻す
	W	WBLOCK	ブロック書き出し
	XL	XLINE	構築線
★★★	X	EXPLODE	分解
★	Z	ZOOM	ズーム

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１－４．CADオペレーターがエイリアスを使うメリットとは？

CADオペレーターが実際の業務でエイリアスを使うメリットは、主に次の2つ。

リボンパネルのレイアウトが変わっても迷わず作図できる
どのバージョンのAutoCADでもスムーズに作業できる

一番のメリットは、画面上部にあるリボンパネルのレイアウトが変わっても迷わず作図できることです。

リボンパネルは表示の設定をカスタマイズできるため、自分で設定したオリジナル画面に慣れてしまうと、他のパソコンで作業ができなくなる恐れがあります。

それに実務では、会社ごとにCADの設定が決められている場合も多いので、自分好みの画面に変更できるとは限りません。

けれどもエイリアスを覚えていれば、どのパソコンでもキー入力のみで作図できるため、決まったデスクがない環境でも迷わず作業することが可能となるのです。

またAutoCADはバージョンアップに伴い、リボンのレイアウトやアイコンの位置が変わることがあります。

普段からリボンに頼って作図していると、AutoCADのバージョンが変わる度に新しい画面構成を覚えなくてはいけないので、非常に面倒です。

こんな時、エイリアスさえ使いこなせれば心配ありません。

新旧どのバージョンのAutoCADでも対応できるので、一度覚えてしまえば一生使えるというメリットも。

またAutoCADは毎年バージョンアップを繰り返し、何年かに一度、画面構成が若干変わります。

普段からリボン操作に慣れていると、コマンドの場所を改めて探しながら作業しなくてはならないので、大変面倒です。

こうした理由から、ベテランの設計士やCADオペレーターほど実務ではエイリアスを使っています。

この記事を参考にエイリアスを使った作図方法に慣れれば、たとえ勤務先が変わっても慌てることなくスムーズに仕事ができるでしょう。

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２．まとめ

他にもエイリアスはまだまだたくさんありますが、今回は実務で使う頻度が高いコマンドを中心にご紹介しました。

とはいえ、あらゆるエイリアスを一度にすべて覚える必要はありません。

初心者の方は、まず★★★のエイリアスから練習し、慣れてきた★★や★のコマンド入力にもトライしてみてください。

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さらに上級者になると、自分だけのオリジナルエイリアスを作ったり、エイリアスに対応するアルファベットをカスタマイズして楽しむことも可能です。

これからCADオペレーターを目指す方は、まずは基本のエイリアスを覚えつつ、左手でのキー操作に慣れることから始めてみましょう。

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